20代の透析患者が直面する、もう一つの大きな壁が、「就職活動」と、その後の「キャリア形成」です。週3回の通院という事実を、採用担当者にどう伝えるべきか。そもそも、透析をしながら、社会人として責任ある仕事をこなしていくことができるのか。その不安は、計り知れません。まず、就職活動における「病気の告知」についてですが、これには明確な正解はありません。しかし、隠したまま入社しても、いずれは通院のために休暇を取る必要が出てくるため、誠実な姿勢で、自分の状況を正直に伝える方が、長い目で見れば、会社との良好な信頼関係を築く上で得策と言えるでしょう。大切なのは、単に「透析をしています」と伝えるだけでなく、「治療によって体調は安定しており、自己管理を徹底することで、業務に支障をきたすことなく、貢献できます」という、前向きな意欲と、具体的な自己管理能力を、セットでアピールすることです。企業側が懸念するのは、病気そのものよりも、それによって業務のパフォーマンスが不安定になることです。その懸念を払拭するだけの、自己管理への自信と実績を示すことが重要です。次に、どのような「働き方」を選ぶかです。血液透析を受ける場合、定時で退社し、夜間透析に通うというスタイルが一般的です。そのため、残業が少なく、通院スケジュールに理解のある職場を選ぶことが、長く働き続けるための鍵となります。IT系の専門職や、裁量労働制が導入されている職場など、比較的、時間的な柔軟性が高い職種も、選択肢の一つとなるでしょう。また、腹膜透析を選択すれば、日中の働き方の自由度はさらに高まります。そして、忘れてはならないのが、「障害者雇用」という選択肢です。透析患者は、身体障害者手帳1級の対象となるため、企業の障害者雇用枠に応募することができます。合理的配慮(通院への配慮など)が法的に義務付けられているため、より安心して働くことができる環境が得やすいというメリットがあります。どの道を選ぶにせよ、病気をハンディキャップと捉えるのではなく、自己管理能力や逆境に負けない精神力を培った、自身の「強み」として、自信を持って社会に臨む姿勢が大切です。