血液透析を受ける患者さんにとって、治療のたびに繰り返される「穿刺(せんし)」の痛みは、大きなストレスの一つです。週3回、太い針を2本刺されるという行為は、慣れることが難しい、肉体的にも精神的にもつらいものです。しかし、いくつかの工夫によって、この穿刺の痛みを和らげることは可能です。まず、最も広く行われているのが、「局所麻酔薬」の使用です。穿刺する予定の皮膚の場所に、透析が始まる1時間ほど前に、麻酔成分が含まれたテープ剤(ペンレステープなど)や、クリーム剤(エムラクリームなど)を貼っておきます。これにより、皮膚の表面の感覚が麻痺し、針が刺さる瞬間の鋭い痛みを、大幅に軽減することができます。どのくらいの時間貼っておくと最も効果的かなど、使用方法については、必ず透析施設のスタッフの指示に従ってください。次に、穿刺するスタッフの技術も、痛みの感じ方を大きく左右します。毎回同じスタッフに穿刺してもらう「担当者制」を希望したり、「この場所は特に痛い」「この角度で刺してもらうと楽だ」といった、自分の血管の特性や痛みの感じ方を、積極的にスタッフに伝えることも大切です。また、穿刺の瞬間に、息を止めずに、ゆっくりと息を「ふーっ」と吐き出すことに集中すると、体の緊張がほぐれ、痛みが和らぐことがあります。さらに、最近では「ボタンホール穿刺」という、毎回全く同じ場所に、同じ角度で針を刺すためのトンネル(ボタンホール)をあらかじめ作っておく方法もあります。トンネルが完成すると、先端が丸くなった切れ味のない針(ダルニードル)で穿刺できるようになるため、通常の穿刺に比べて痛みが格段に少ないとされています。ただし、感染のリスク管理など、特別なケアが必要なため、実施できる施設や患者さんは限られます。これらの方法を組み合わせ、自分に合った痛みとの付き合い方を見つけていくことが、透析治療のストレスを減らす上で非常に重要です。