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2026年5月
  • 尿量と水分制限の密接な関係

    医療

    透析患者さんにとって、最もつらく、かつ重要な自己管理の一つが「水分制限」です。この水分制限の具体的な目標値は、実は全ての人に一律に課せられるものではなく、その人の「1日の尿量」と密接に連動して、個別に決定されます。この関係性を正しく理解することが、無理なく、そして安全に水分コントロールを行うための第一歩です。透析患者さんが1日に摂取してよい水分量の基本的な目安は、「前日の尿量 + 500〜700ml」とされています。この500〜700mlという数字は、汗や呼吸など、尿以外で体から失われる水分(不感蒸泄)の量を考慮したものです。この計算式から分かるように、尿量が多ければ多いほど、飲める水の量も多くなります。例えば、1日の尿量が800mlある患者さんであれば、800ml + 500ml = 1300ml程度の水分を摂取することが許容されます。これは、1.5Lのペットボトル1本分に近く、比較的余裕のある水分管理が可能です。一方で、尿が全く出ない「無尿」の患者さんの場合は、0ml + 500ml = 500mlとなり、1日に摂取できる水分は、ペットボトル1本分程度という、非常に厳しい制限が課せられることになります。この差は、日々の生活の質(QOL)に、極めて大きな影響を与えます。だからこそ、自分の尿量を正確に把握することが、水分管理の全ての基本となるのです。そのため、多くの透析施設では、患者さんに「蓄尿」といって、24時間分の尿を全て溜めて、その量を測定・記録することを勧めています。朝一番の尿は捨て、そこから翌朝の最初の尿までを、専用の容器に溜めて計量します。この地道な作業によって、自分の飲める水分量の客観的な上限を知ることができ、また、尿量が徐々に減ってきているという残存腎機能の変化を、自分自身で把握することができます。もし、尿量が減ってきたならば、それに合わせて、摂取する水分量も少しずつ減らしていくという、柔軟な調整が必要になるのです。