自宅が透析室に、「在宅血液透析(HHD)」の実際
もう一つの在宅透析の形が、「在宅血液透析(Home Hemodialysis, HHD)」です。これは、医療機関で行う血液透析と全く同じ原理の治療を、自宅で行うという、より本格的な在宅治療です。この治療法を選択するためには、自宅に個人用の「透析装置」や、透析液の元となる超純水を作るための「水処理装置(RO装置)」を設置する必要があります。これらの設置には、水道や電気の簡単な工事が必要となる場合もあります。そして、在宅血液透析における最大の特徴は、治療に関わる全ての操作を、患者さん自身、または介助する家族が行わなければならないという点です。これには、透析装置の準備や操作、体重測定と除水量の計算、そして、多くの人が最も高いハードルと感じる、自分自身のシャント血管への「自己穿刺(針刺し)」が含まれます。このため、在宅血液透析を開始する前には、患者さんと介助者(パートナー)が、数ヶ月間にわたって、医療機関で徹底した教育とトレーニングを受ける必要があります。機械の操作方法だけでなく、トラブルが発生した際のアラームへの対応や、緊急時の対処法まで、専門的な知識と技術を習得しなければなりません。このように、導入へのハードルは腹膜透析よりも高いですが、在宅血液透析には、それを補って余りある、大きな医学的メリットがあります。それは、治療の時間や頻度を、医師の管理のもとで、より自由に設定できることです。例えば、週3回・4時間という標準的な透析だけでなく、毎晩、寝ている間に短時間の透析を行う「睡眠時透析」や、週5〜6回、短時間の透析を行う「頻回透析」なども可能になります。