血液透析において、実際に血液をきれいにするフィルターの役割を果たしているのが、「ダイアライザー(血液透析器)」、通称「人工腎臓」と呼ばれる部品です。これは、一見すると少し大きめの筒のような形をしていますが、その内部には、人間の髪の毛ほどの細さ(内径約200ミクロン)の中空糸膜が、約1万本も束になって収められています。この1本1本の中空糸が、血液が通るストローの役割を果たします。ダイアライザーの内部は、血液が流れる中空糸の「内側」と、その周りを透析液が流れる「外側」の、二つの空間に完全に隔てられています。そして、この中空糸の壁には、目に見えないほどの極めて小さな穴(孔)が無数に開いています。この穴の大きさが、ダイアライザーの性能を決定する最も重要なポイントです。血液が中空糸の中を流れる間に、この小さな穴よりもサイズの小さい尿素やクレアチニンといった老廃物や、余分な水分、カリウムなどは、濃度の差によって、血液側から透析液側へと染み出していきます(拡散と限外ろ過)。一方で、赤血球や白血球、アルブミンといった、体に必要な大きなサイズの成分は、この穴を通り抜けることができないため、血液中に留まります。つまり、ダイアライザーは、分子の大きさの違いを利用した、非常に精巧な「ふるい」として機能しているのです。この単純ながらも奥深い原理によって、わずか数時間の間に、体内の全血液が何度もこのフィルターを通過し、浄化されていくのです。ダイアライザーの膜の素材や性能は年々進化しており、より効率的に、そしてより生体適合性の高い(体に優しい)透析治療の実現に貢献しています。