生活保護制度は、単に生活費として現金を支給するだけのものではありません。それは、人々が直面する様々な生活上の困難に対応するため、目的別に分けられた「8種類の扶助」から成り立っています。この扶助という柱が、受給者の生活を多角的に支えるのです。透析患者さんが生活保護を利用する場合、特に重要となるのが「生活扶助」と「医療扶助」です。まず、「生活扶助」は、食費や光熱費、被服費といった、日常生活を送る上で基本的な需要を満たすための費用です。これは、年齢や世帯構成、居住地などに応じて国が定める「最低生活費」から、障害年金などの他の収入を差し引いた額が、現金として毎月支給されます。次に、透析患者さんにとって最も重要なのが「医療扶助」です。これは、病気やケガの治療に必要な医療サービスの費用を、国が直接、医療機関に支払う「現物給付」の制度です。透析治療は、特定疾病療養受療制度や重度心身障害者医療費助成制度によって、自己負担はかなり軽減されますが、それでも月額1万円か2万円の上限額や、他の病気でかかった際の医療費が発生します。医療扶助は、これらの自己負担分も含めて、原則として医療費が無料になるという、極めて強力なサポートです。透析治療費はもちろん、風邪をひいた時の診察代や、薬局で処方される薬代、そして通院に必要な交通費(移送費)なども、この医療扶助の対象となります。これにより、患者さんは経済的な心配をすることなく、安心して治療に専念することができます。このほかにも、家賃などを支給する「住宅扶助」、義務教育に必要な費用を賄う「教育扶助」、介護サービスにかかる費用を支給する「介護扶助」、そして「出産扶助」「生業扶助」「葬祭扶助」があり、受給者一人ひとりの状況に応じて、これらの扶助が組み合わせて提供されるのです。