人工透析を導入した患者さんの多くは、「身体障害者手帳」の取得と同時に、「障害年金」の受給対象となります。この障害年金は、透析患者さんの生活を支える上で、非常に重要な経済的基盤です。では、この障害年金と生活保護は、どのような関係にあるのでしょうか。この二つの制度の仕組みを正しく理解しておくことは、生活設計を立てる上で不可欠です。結論から言うと、障害年金と生活保護は、同時に「併給」することが可能です。ただし、ここで重要なのが「収入認定」という考え方です。生活保護制度は、あくまで最低生活費に満たない「不足分」を補う制度です。そのため、障害年金として支給される金額は、世帯の「収入」として認定されます。そして、国が定める「最低生活費」の基準額から、この障害年金の額を差し引いた、その「差額分」が、生活保護費(主に生活扶助)として支給されることになるのです。例えば、ある透析患者さんの世帯の最低生活費が月額13万円だとします。この方が、障害基礎年金として月額6万5千円を受給している場合、生活保護費として支給されるのは、13万円から6万5千円を差し引いた、残りの6万5千円となります。もし、障害厚生年金などで月額15万円の収入がある場合は、最低生活費を上回っているため、生活保護の対象とはなりません。つまり、障害年金を受給しているからといって、生活保護が受けられなくなるわけではなく、むしろ、障害年金という「他の制度」をまず活用した上で、それでもなお生活が困窮する場合に、生活保護がセーフティーネットとして機能する、という関係性なのです。福祉事務所に生活保護の相談に行くと、まだ障害年金を申請していない場合は、まずそちらの申請を勧められることがほとんどです。この二つの制度を賢く組み合わせることが、安定した療養生活を送るための鍵となります。
障害年金と生活保護、知っておくべき「差額支給」の仕組み