ドライウェイトが高すぎることのリスクが注目されがちですが、逆に、設定が「低すぎる」ことも、患者さんの体調や安全を脅かす、重大な問題を引き起こします。ドライウェイトが低すぎるということは、毎回の透析で、必要以上に水分を体から引き抜いてしまっている「脱水」の状態を意味します。特に、透析治療中に現れる様々なつらい副作用の、直接的な原因となることが少なくありません。ドライウェイトが低すぎる場合に現れる、代表的な危険信号を知っておきましょう。まず、最も頻繁に起こり、患者さんを苦しめるのが、「透析中の急激な血圧低下」です。体の水分量が減りすぎると、循環している血液の量も減少し、血圧を維持することが困難になります。めまいや吐き気、冷や汗、ひどい場合には意識を失ってしまうこともあります。この血圧低下は、単につらいだけでなく、心臓や脳への血流を一時的に低下させ、長期的には臓器にダメージを与える可能性も指摘されています。次に、血圧低下と並行して起こりやすいのが、「足のつり(こむら返り)」です。急激な除水によって、筋肉内の電解質バランスが崩れたり、筋肉への血流が減少したりすることが原因と考えられており、激しい痛みを伴います。また、「透析後の極度の倦怠感や虚脱感」も、ドライウェイトが低すぎるサインの一つです。治療が終わって帰宅した後、起き上がれないほどぐったりしてしまう状態が続く場合は、水分を引きすぎている可能性があります。さらに、見過ごされがちですが、非常に危険なのが「シャント閉塞」のリスク増大です。脱水によって血液が濃縮され、「ドロドロ」の状態になると、血栓(血の塊)ができやすくなります。この血栓が、命綱であるシャント血管を詰まらせてしまう危険性が高まるのです。これらのサインは、体が「水分を抜きすぎだ」と悲鳴を上げている証拠です。決して我慢せず、速やかに医療スタッフに伝えることが、安全な透析治療の継続に繋がります。
ドライウェイトが低すぎる時の危険信号(血圧低下・足のつり)