体の中心へ繋がる管、カテーテルの構造と仕組み
長期留置カテーテルは、一見するとただのチューブのように見えますが、その内部は、安全に長期間使用するための、様々な工夫が凝らされた精密な医療機器です。このカテーテルは、通常、首の付け根(内頸静脈)、胸(鎖骨下静脈)、あるいは足の付け根(大腿静脈)の皮膚から、体の中心を走り、心臓に直接血液が戻る、非常に太い静脈である「中心静脈」に向かって挿入されます。カテーテルの先端は、右心房の入り口付近に位置し、常に大量の血液が流れているため、効率的な血液の脱血と返血が可能になります。カテーテルの内部は、通常「ダブルルーメン」と呼ばれる二層構造になっています。これは、一本のチューブの中に、二つの独立した通路が設けられていることを意味します。透析時には、一つの通路(脱血側、赤色で示されることが多い)から血液を体外へ取り出し、もう一つの通路(返血側、青色で示されることが多い)から、ダイアライザーできれいになった血液を体内に戻します。これにより、浄化された血液が、取り出している血液と混ざることなく、スムーズな循環が実現します。そして、長期留置カテーテルの最も重要な特徴が、「カフ」の存在です。カフとは、カテーテルの途中にある、ダクロンという特殊な繊維でできた、フェルト状のリングのことです。このカフは、皮膚の下のトンネル内で周囲の組織と癒着し、カテーテルを皮下組織に固定するアンカーの役割を果たすと同時に、カテーテルの出口部分から細菌が、カテーテルに沿って体内に侵入するのを防ぐための、物理的なバリアとなります。このカフがあるおかげで、カテーテルを数ヶ月から数年にわたって、安全に留置し続けることが可能になるのです。