透析患者とは、腎臓の機能が著しく低下し、自分自身の力では生命を維持できなくなったため、人工透析という医療技術によって、その機能を代替している人々のことを指します。私たちの体にある腎臓は、血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として排泄する、いわば体内の高性能な浄水フィルターです。しかし、糖尿病や高血圧、慢性腎炎といった病気が原因で、この腎臓の働きが正常の10%以下にまで落ち込んでしまうと、「末期腎不全」という状態になります。この状態では、体内に毒素が溜まり(尿毒症)、むくみ、高血圧、貧血、吐き気など、様々な症状が現れ、最終的には命に関わります。透析治療は、この働かなくなった腎臓の代わりに、人工的な方法で血液を浄化し、体内の環境を正常に保つための、まさに命綱となる治療法です。透析患者であるということは、単に病気を抱えているということだけではありません。それは、週に3回、数時間にわたる治療を生涯にわたって続けながら、厳しい食事制限や水分管理といった、日常生活における多くの制約と共に生きていくという、新しいライフスタイルを選択したことを意味します。透析は病気を治す治療ではありませんが、失われた腎機能を補うことで、患者さんが社会生活を続け、自分らしい人生を送ることを可能にする、現代医療が生んだ不可欠なサポートなのです。日本には現在、約35万人もの透析患者さんがおり、その数は年々増加傾向にあります。彼らは、透析というパートナーと共に、日々を力強く生き抜いているのです。