血液透析のサイト

医療
  • ドライウェイトの決め方、「計算」では出せない最適な値

    医療

    「私のドライウェイトは、どうやって計算するのですか?」これは、多くの患者さんが抱く素朴な疑問です。しかし、驚かれるかもしれませんが、ドライウェイトには、身長と年齢からBMIを算出するような、決まった「計算式」というものは存在しません。ドライウェイトの決定は、患者さんの体を多角的に評価し、まるでオーダーメイドの服を仕立てるように、医師や臨床工学技士、看護師といった医療チームが、試行錯誤を繰り返しながら、時間をかけて見つけ出していく、非常に個別性の高いプロセスなのです。では、医療チームは、何を根拠にドライウェイトを判断しているのでしょうか。そこには、いくつかの重要な指標があります。まず、最も基本的なのが「身体所見」です。足のすねなどを指で押してみて、凹んだ跡が残るかどうか(浮腫・むくみの有無)を確認します。むくみがあれば、まだ体内に余分な水分が残っているサインです。また、首の静脈(頸静脈)の張り具合も、体液量を評価する上で重要な指標となります。次に、「血圧の変動」です。透析中に血圧が下がりすぎたり、透析後に立ちくらみがひどかったりする場合は、ドライウェイトが低すぎる(水分を引きすぎている)可能性が考えられます。逆に、透析後も血圧が高い状態が続く場合は、ドライウェイトが高すぎる(水分の引き残しがある)可能性を疑います。さらに、客観的な画像データとして、「胸部レントゲン写真」が用いられます。心臓の大きさを胸全体の幅と比較した「心胸郭比(CTR)」という数値を測定し、心臓が拡大していないかを確認します。心臓が大きくなっている場合は、水分過多で心臓に負担がかかっている証拠です。このほかにも、心臓への負担の度合いを示す血液検査のデータ(hANPなど)や、そして何よりも、「患者さん自身の自覚症状」(透析後のだるさ、足のつり、息切れの有無など)が、最終的な判断を下す上で、極めて重要な情報となります。これらの情報を総合的に評価し、少しずつドライウェイトを調整しながら、その人にとって最も快適で安全な「最適体重」を探り当てていくのです。