医療
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国の財政と透析点数、終わらない議論
透析患者さんの自己負担は、公的な制度によって手厚く守られていますが、その一方で、高額な透析医療費は、日本の国民医療費全体に大きな影響を与え続けています。現在、日本の透析患者数は約35万人と言われていますが、透析医療にかかる総費用は、年間で約1.6兆円にも上ります。これは、日本の国民医療費全体の約4%を占める、非常に大きな規模です。つまり、日本の医療費の25分の1が、透析治療のために使われている計算になります。この莫大な費用は、私たちが納める健康保険料や税金によって賄われています。今後、高齢化の進展や、糖尿病の合併症として腎不全に至る患者さんの増加により、透析患者数はさらに増えていくことが予測されており、医療費の増大は、国の財政にとって深刻な課題となっています。この課題に対応するため、国は、診療報酬点数を改定する際に、透析医療費をいかに適正化するかという議論を、常に続けています。診療報酬は、原則として2年に一度改定されますが、そのたびに、透析治療の基本点数や、関連する加算点数が、引き上げられるべきか、あるいは引き下げられるべきか、医療界と政府、保険者(保険組合など)の間で、厳しい交渉が繰り広げられます。わずか数点の引き下げであっても、全国の透析患者数を考えれば、国の医療費全体に与えるインパクトは絶大です。しかし、安易な点数の引き下げは、透析施設の経営を圧迫し、医療の質の低下に繋がりかねないというジレンマも抱えています。透析の点数をめぐる議論は、単なる医療費の問題ではなく、日本の医療保険制度の持続可能性そのものを問う、重いテーマなのです。