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  • 残存腎機能への脅威、尿量を守るための注意

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    透析を導入した後でも、まだある程度の尿が出ている状態、これを「残存腎機能が保たれている」と呼びます。この残っているわずかな腎臓の働きは、水分や食事の制限を緩和し、生命予後を改善する上で、透析患者さんにとって「宝物」とも言える非常に重要なものです。そして、ロキソニンのようなNSAIDsの服用が、この貴重な残存腎機能に対して、最も直接的で深刻な脅威となり得ることを、患者さん自身が強く認識しておく必要があります。前述の通り、NSAIDsは腎臓への血流を低下させる作用を持っています。すでにギリギリの状態で働いている残存腎機能にとって、この血流の低下は、いわば“兵糧攻め”のようなものです。血液という栄養源が十分に供給されなくなることで、腎臓の細胞はさらにダメージを受け、尿を作る能力が急速に失われていきます。その結果、これまで保たれていた尿量が、数回の服薬だけで、急激に減少してしまったり、最悪の場合、完全に無尿(尿が出ない状態)になってしまったりする危険性があるのです。尿が出ている間は、水分制限が比較的緩やかで、生活の質も保たれやすいですが、一度無尿になってしまうと、極めて厳しい水分管理が必要となり、生活の質は大きく変化します。この変化は、不可逆的、つまり一度失われた残存腎機能は、薬をやめても元には戻らないことがほとんどです。特に、脱水状態にある時や、血圧が低い時にNSAIDsを服用すると、腎血流の低下がより顕著になり、リスクはさらに増大します。痛み止めが必要な場面は、しばしば発熱や体調不良を伴い、脱水傾向にあることが多いという点も、注意が必要な理由です。安易な自己判断によるロキソニンの服用は、このかけがえのない宝物を、自らの手で失ってしまう行為になりかねない。そのことを、常に心に留めておかなければなりません。