腎臓の代わりを務める透析療法には、大きく分けて二つの主要な方法があります。それが「血液透析(HD)」と「腹膜透析(PD)」です。どちらの方法も、血液中の老廃物や余分な水分を取り除くという目的は同じですが、その仕組みとライフスタイルは大きく異なります。まず、血液透析は、現在、日本の透析患者さんの大多数が選択している方法です。この治療は、腕の血管に作った「シャント」という血液の出入り口から、ポンプを使って血液を体の外に取り出し、「ダイアライザー」と呼ばれる人工の腎臓(フィルター)に通してきれいにします。浄化された血液は、再び体の中に戻されます。このプロセスを、週に3回、医療機関(クリニックや病院)に通院して行います。1回の治療にかかる時間は、4時間から5時間が一般的で、治療中はベッドの上で安静にしている必要があります。週3回の通院という時間的な制約はありますが、治療は専門の医療スタッフがすべて行ってくれるため、自己管理の負担が少なく、安心感が高いというメリットがあります。一方の腹膜透析は、主に自宅で行うことができる在宅治療です。これは、自分自身のお腹の中にある「腹膜」をフィルターとして利用する方法です。お腹に埋め込んだ細いカテーテルから、透析液というきれいな液体をお腹の中(腹腔)に入れます。すると、腹膜を介して、血液中の老廃物や余分な水分が、時間をかけてゆっくりと透析液の中に染み出してきます。数時間後、老廃物で汚れた透析液を排出し、新しい透析液と交換します。このバッグ交換を、1日に数回、自分自身や家族が行います。通院は月に1〜2回程度で済むため、時間や場所の自由度が高く、仕事や学業、旅行など、社会生活との両立がしやすいのが最大のメリットです。どちらの治療法を選ぶかは、患者さんの年齢や医学的な状態、そして何よりもライフスタイルや価値観によって、医師と十分に相談して決定されます。