厳しいカリウム制限がある中でも、工夫次第で食べられる食材の幅を広げ、食事を豊かにすることは十分に可能です。その鍵を握るのが、カリウムが「水に溶けやすい」という性質を最大限に活用した調理法です。この性質を利用すれば、高カリウムとされる野菜などでも、その含有量を大幅に減らすことができます。その基本となるのが、「小さく切る」「水にさらす」「茹でこぼす」という三つのステップです。まず、野菜はできるだけ細かく切ります。食材の断面積が大きくなるほど、水に触れる面が増え、カリウムが溶け出しやすくなります。次に、切った野菜を、たっぷりの水に30分から1時間ほどさらします。この「水さらし」だけでも、ある程度のカリウムを除去することができます。そして、最も効果的なのが「茹でこぼし」です。たっぷりの熱湯で野菜を茹で、その茹で汁は必ず捨ててください。茹で汁の中に、多くのカリウムが溶け出しているからです。この一連の下処理を行うことで、生の時に比べて、野菜のカリウム量を30%から50%程度減らすことができると言われています。ただし、この方法は、全ての調理法に適しているわけではありません。例えば、電子レンジでの加熱調理は、水分を使わないため、カリウムをほとんど減らすことができません。また、煮物や鍋物、シチューなどを作る場合、食材から溶け出したカリウムが煮汁の中に溜まってしまうため、具材だけを食べ、「汁は絶対に飲まない」というルールを徹底する必要があります。缶詰の果物や野菜を食べる際も、シロップや汁にはカリウムが溶け出しているため、必ず中身だけを取り出して食べるようにしましょう。これらの少しの手間を惜しまないことが、安全に、そして美味しく食事を楽しむための、透析患者さんの知恵なのです。