シャントは、血液透析患者さんにとって、まさに「命綱」です。この大切なシャントを、一日でも長く、トラブルなく使い続けるためには、日々の生活の中での細やかな自己管理が何よりも重要になります。まず、基本的な注意点として、「シャント側の腕に負担をかけない」ということがあります。シャントを作った腕で、重い荷物を持ったり、腕枕をしたり、血圧を測定したりすることは、シャント血管を圧迫し、血流を妨げる原因となるため、避けるべきです。腕時計や、袖口のきつい服で腕を締め付けるのも同様によくありません。次に、「清潔の保持と感染予防」です。シャント部分は、皮膚のバリア機能が穿刺によって弱くなりがちです。毎日、シャント部分を石鹸で優しく洗い、清潔に保つことを習慣にしましょう。かきむしったり、傷をつけたりしないように注意することも大切です。そして、最も重要な自己管理が、「シャントの状態を毎日確認する」ことです。これを「見て、聴いて、触る」と覚えると良いでしょう。まず、目で見て、シャント部分に赤みや腫れ、傷などがないかを確認します。次に、シャントにそっと耳を近づけるか、聴診器を当てて、「ザーザー」「ゴーゴー」という、血液が勢いよく流れる音(シャント音)が聞こえるかを確認します。最後に、シャントの上に指先を軽く置いて、細かい振動(スリル)を感じるかを確認します。このシャント音やスリルは、シャントが元気に流れている証拠です。もし、これらの音が弱くなったり、聞こえなくなったり、あるいは普段とは違う拍動を感じたりした場合は、シャントが狭くなったり(狭窄)、詰まりかけたり(閉塞)しているサインかもしれません。異常に気づいたら、次の透析日を待たずに、すぐに透析施設に連絡し、指示を仰ぐことが、シャントを救うための鍵となります。