透析治療の導入という身体的な変化に加えて、「障害者手帳を持つ」ということに対して、心理的な抵抗を感じる患者さんは少なくありません。「自分が障害者になったと認めたくない」「人から障害者として見られるのがつらい」といった気持ちから、手帳の申請をためらってしまう方もいます。特に、これまで健康に自信があり、社会の第一線で活躍してきた方ほど、その喪失感や戸惑いは大きいかもしれません。しかし、この心理的な壁を乗り越えるために、少し視点を変えてみることが大切です。まず、身体障害者手帳は、あなたに「障害者」というレッテルを貼るためのものではなく、むしろ、あなたがこれからも社会の一員として、自分らしい生活を続けていくための「権利」であり、「パスポート」のようなものである、と捉え直してみてください。透析治療を続けるには、多大な医療費と、通院のための時間や労力が必要です。手帳は、こうした負担を社会全体で支え、あなたが治療に専念し、社会復帰するための具体的なサポートを提供してくれる、非常に合理的なツールなのです。また、手帳を持っているからといって、それを常に他人に見せびらかす必要は全くありません。必要な場面、例えば病院の窓口や、公共交通機関を利用する際に提示するだけであり、日常生活であなたが障害者であることを、周囲が意識する機会はほとんどないでしょう。そして、同じように透析治療を受けながら、手帳を活用して、仕事や趣味に生き生きと取り組んでいる多くの仲間がいることを知ることも、大きな力になります。患者会などに参加して、先輩患者さんの体験談を聞くのも良いでしょう。手帳を持つことは、決して特別なことではなく、透析と共に生きていくための、賢明で当たり前の選択なのだと理解することが、心理的な抵抗を乗り越えるための第一歩となります。
手帳を持つことへの心理的な抵抗と、その乗り越え方