「透析を始めなければならない」と告げられたとき、多くの患者さんは、その先の人生に大きな不安を感じ、「もう普通の生活は送れないのではないか」と絶望的な気持ちになるかもしれません。確かに、透析治療は、生活に大きな変化と制約をもたらします。しかし、透析は人生の終わりではなく、これからも自分らしい人生を続けていくための、新しいスタート地点なのだと捉えることが大切です。現在、日本には35万人以上の透析患者さんがいますが、その多くが、治療を受けながら仕事や学業、趣味を続け、充実した社会生活を送っています。透析患者さんが働くことは、決して珍しいことではありません。夜間透析や在宅での腹膜透析を選択することで、日中の仕事への影響を最小限に抑えることも可能です。また、旅行を諦める必要もありません。「臨時透析(旅行透析)」という仕組みがあり、事前に予約をすれば、旅先のクリニックでいつもと同じように透析治療を受けることができます。こうした前向きな生活を支えるために、国や自治体による様々な社会的なサポート制度も整備されています。透析治療は医療費が非常に高額ですが、「特定疾病療養受療制度」や「重度心身障害者医療費助成制度」といった公的な助成制度を利用することで、患者さんの自己負担額は、所得に応じて月額1万円か2万円が上限となり、経済的な負担は大幅に軽減されます。また、多くの場合、「身体障害者手帳」の交付対象となり、税金の控除や、公共交通機関の割引といった様々な福祉サービスを受けることができます。もちろん、治療と生活の両立には、家族の理解や職場の協力、そして何よりも自分自身の強い意志が必要です。しかし、正しい知識と社会のサポートがあれば、透析と共に生きる人生を、豊かで実りあるものにしていくことは、十分に可能なのです。
透析と共に生きる、前向きな社会生活のために