透析患者さんが生活保護を利用する上で、その生活基盤を根底から支える、最も強力な柱となるのが「医療扶助」です。この制度があるからこそ、患者さんは経済的な心配から解放され、命に直結する透析治療に安心して専念することができます。医療扶助は、生活保護法で定められた8種類の扶助の一つで、病気やケガの治療に必要な医療サービスの費用を、福祉事務所が本人に代わって、直接、医療機関に支払う「現物給付」の仕組みです。透析治療は、特定疾病療養受療制度や、身体障害者手帳の取得による重度心身障害者医療費助成制度によって、もともと自己負担額は月額1万円か2万円(あるいはゼロ)にまで軽減されています。しかし、医療扶助は、この残された自己負担額すらもカバーします。つまり、透析治療にかかる医療費の自己負担は、原則として完全に「ゼロ」になるのです。さらに、医療扶助の範囲は、透析治療だけにとどまりません。風邪をひいて近所の内科にかかったり、歯が痛くなって歯科にかかったり、あるいは他の合併症で専門的な治療が必要になったりした場合の、全ての医療費(保険診療の範囲内)も、この医療扶助によって賄われます。薬局で処方される薬代も同様です。そして、週3回の通院が必須である透析患者さんにとって、非常に大きな助けとなるのが、通院にかかる「交通費(移送費)」も、医療扶助の対象となる点です。原則として、バスや電車といった、最も経済的な公共交通機関の利用が基本となりますが、その実費が支給されます。また、身体的な状況から公共交通機関の利用が困難であると医師が判断した場合には、タクシーの利用が認められることもあります。このように、医療扶助は、治療費から薬代、交通費に至るまで、医療に関わる経済的な負担を包括的に取り除いてくれる、まさに生命のセーフティーネットなのです。
医療扶助の絶大な力、通院交通費も対象に