これから透析治療を始めるにあたり、「不均衡症候群」という聞き慣れない言葉を知って、漠然とした不安を感じている方もいるかもしれません。「透析って、そんなにつらい症状が出るものなのか」「自分もそうなってしまったらどうしよう」と、心配になるのは当然のことです。しかし、その不安を和らげるための最も効果的な方法は、この症候群について、正しい知識を持つことです。まず、最も知っておいていただきたいのは、透析不均衡症候群は、主に「透析導入期」に特有の、一過性の現象であるということです。体が、透析によってきれいになるという新しい環境に慣れてくれば、症状は自然と起こらなくなります。透析生活が、ずっとこのつらい症状と共に続くわけではないのです。次に、重篤な症状(けいれんや意識障害など)が起こることは、現在の医療では「極めて稀」であるという事実です。これは、医療スタッフが、この症候群のメカニズムを完全に理解し、それを防ぐための予防策を、何重にも講じているからです。あなたのために組まれる「慣らし透析」のスケジュールは、まさにこのリスクを回避するために、科学的根拠に基づいて慎重に計画された、オーダーメイドの安全対策なのです。そして、万が一、頭痛や吐き気といった軽い症状が出たとしても、それはあなたの体が新しい環境に適応しようと頑張っているサインであり、医療スタッフに伝えれば、すぐに対処法があるということを知っておいてください。決して、一人で我慢したり、パニックになったりする必要はありません。透析不均衡症候群は、正しく理解すれば、決して恐れるに足らない合併症です。不安な気持ちは、遠慮なく医師や看護師に話し、疑問を解消してください。正しい知識は、未知への不安を、未来への安心へと変える力を持っているのです。