透析患者さんにとって、自分自身の「尿量」を毎日、正確に測定し、記録することは、治療を安全かつ快適に続けていく上で、極めて重要な自己管理の一つです。面倒に感じるかもしれませんが、この地道な作業には、それを補って余りある、大きな意味があります。まず、第一に、尿量測定は「自分の飲める水分量を決める、最も客観的で正確な指標」となります。前述の通り、1日の水分摂取量の目安は「前日の尿量 + 500〜700ml」です。この計算式の元となる尿量を、単なる「感覚」や「だいたい」で済ませてしまうと、日々の水分摂取量が、気づかないうちに過剰になったり、逆に不足したりしてしまいます。正確な尿量を知ることで初めて、自分に許された水分量を、自信を持ってコントロールすることができるのです。尿量の測定は、「24時間蓄尿」という方法で行うのが基本です。例えば、朝8時にトイレに行った尿は、一度完全に捨てます。その時刻を記録し、そこから次の日の朝8時までの24時間、排泄される尿を、全て専用の計量容器に溜めていきます。そして、翌朝8時の最後の尿を溜め終わったら、その総量を測定します。これが、あなたの正確な24時間尿量です。第二に、尿量の記録を続けることは、「残存腎機能の変化を知るための、貴重なバロメーター」となります。記録を見返すことで、数週間、数ヶ月という単位で、自分の尿量が維持されているのか、それとも徐々に減少傾向にあるのかを、客観的に把握することができます。もし、急激に尿量が減った場合は、脱水や感染症、あるいは何らかの薬剤の影響など、体調に変化が起きているサインかもしれません。すぐに医療スタッフに報告することで、早期の対応に繋がります。この日々の記録は、あなたと医療チームが、あなたの体の状態を共有し、最適な治療方針を共に考えていくための、何より雄弁なコミュニケーションツールとなるのです。