現在、主流となっている透析装置は、患者をベッドに拘束し、週に3回、数時間の治療を必要とします。しかし、未来の透析機械は、この常識を覆し、より患者の生活に寄り添った、自由で負担の少ない形へと進化していくことが期待されています。その究極の目標の一つが、「ウェアラブル人工腎臓」の開発です。これは、透析装置を、まるでスマートウォッチのように体に装着できるサイズまで小型化し、日常生活を送りながら、24時間、持続的に血液を浄化し続けるという、まさに夢のデバイスです。すでに世界中の研究機関で、小型のポンプや、再生可能な吸着カートリッジを用いた、プロトタイプの開発が進められています。これが実現すれば、透析患者は、通院の必要がなくなり、食事や水分の制限からも解放され、健常者とほとんど変わらない生活を送ることができるようになるかもしれません。さらに、機械による代替治療の先には、「再生医療」による、腎臓そのものの機能回復という、より根本的な治療法への期待があります。iPS細胞などの幹細胞技術を用いて、試験管の中でミニ腎臓(オルガノイド)を作り出す研究は、目覚ましい進歩を遂げています。まだ、人間の体内で完全に機能する腎臓を丸ごと作り出すまでには、多くの技術的なハードルがありますが、将来的には、患者自身の細胞から作った腎臓の組織を移植し、腎機能を再生させることが可能になるかもしれません。また、iPS細胞から作った腎臓の細胞を用いて、より生体に近い、高機能な膜を持つ「バイオ人工腎臓」を開発しようという研究も進んでいます。透析機械の小型化・ウェアラブル化という工学的なアプローチと、失われた臓器そのものを再生させる生物学的なアプローチ。この二つの潮流が、いつか交わる時、末期腎不全という病気の概念そのものが、過去のものとなる日が来るのかもしれません。
未来の透析機械、ウェアラブル化と再生医療への期待