公的な保険制度が手厚いため、透析治療そのものの費用は心配ないとしても、「もしものために」と加入している民間の医療保険やがん保険から、給付金は受け取れるのでしょうか。この問いに対する答えは、残念ながら「多くの場合、期待できない」というのが現実です。民間の医療保険の給付金の主な柱は、「入院給付金」と「手術給付金」です。まず、血液透析は、週3回、クリニックに通院して行われるのが一般的であり、これは保険会社が定める「入院」には該当しません。したがって、入院給主”金”が支払われることはありません。次に、手術給付金についてはどうでしょうか。透析治療を開始する前に行う「内シャント造設術」は、外科的な「手術」に該当するため、これは手術給付金の支払い対象となります。しかし、その後の日常的な透析治療そのものは、手術とは見なされません。また、クリニックで日帰りで行われるPRP療法や幹細胞治療などの自由診療と同様に、注射やカテーテル接続による治療は、保険会社が約款で定める「器械による観血的処置」という手術の定義に当てはまらないと判断されることがほとんどです。したがって、透析治療自体に対して、手術給付金が支払われることもありません。腹膜透析(PD)の場合も、在宅での治療が基本であり、入院には該当しません。ただし、カテーテルを腹部に埋め込む手術は、手術給付金の対象となります。結論として、民間の医療保険は、シャントやカテーテル設置の「手術」に対しては一時金が給付されますが、その後の継続的な「透析治療」そのものを直接カバーするものではない、と理解しておく必要があります。もちろん、契約内容によっては、特定の疾病と診断された場合に一時金が支払われる「特定疾病保障保険」などで、慢性腎不全が対象となっている場合もあります。最も確実なのは、治療を開始する前に、必ず保険証券を確認し、保険会社の担当者に直接問い合わせることです。