透析災害時アクションカードは、それ単体で機能するわけではありません。そのカードに書かれた行動計画を実行し、支援が届くまでの数日間を生き抜くためには、アクションカードと常にセットで備えておくべき「非常持ち出し袋」が不可欠です。透析患者さんの非常持ち出し袋は、一般的な防災グッズに加えて、治療の継続と生命維持に直結する、特別な準備が必要となります。まず、何よりも重要なのが「医療関連セット」です。アクションカードそのものはもちろんのこと、「お薬手帳」「健康保険証」「身体障害者手帳」「特定疾病療養受療証」は、コピーでも良いので必ず入れておきます。そして、現在服用している全ての「薬」を、最低でも3日分、できれば1週間分、防水の袋などに入れて準備します。特に、リン吸着薬や降圧薬などは、一日も欠かすことができません。次に、「情報収集・連絡ツール」です。停電に備え、電池式の「携帯ラジオ」と、その「予備電池」は必須です。スマートフォンの充電が切れないように、「大容量のモバイルバッテリー」も忘れずに準備しましょう。そして、最も重要なのが「食事関連セット」です。災害時の食事は、カリウム、塩分、水分を厳しく制限しつつ、エネルギーを確保するという、極めて高度な管理が求められます。そのため、あらかじめ市販されている「透析患者向けの非常食(低カリウム・低塩分のレトルトごはんやおかずなど)」や、「エネルギー補給用のゼリー飲料」などを、最低3日分は準備しておく必要があります。通常の非常食は、塩分やカリウムが多く、透析患者さんには適さないものがほとんどです。また、ペットボトルの「飲料水」も最低限は必要ですが、これは自己判断で飲むのではなく、医療者の指示を仰ぐためのものであることを忘れてはいけません。これらの特別な備えを、アクションカードと共に、すぐに持ち出せる場所に保管しておくこと。それが、いざという時の生存率を大きく左右するのです。
「非常持ち出し袋」の中身、アクションカードと共に備えるもの