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透析装置の頭脳、コンソールの複雑な役割
ベッドサイドに置かれ、透析治療の全てのプロセスを制御・監視しているのが「透析コンソール」と呼ばれる機械本体です。このコンソールは、透析治療における司令塔、すなわち「頭脳」の役割を果たしています。その機能は、大きく分けて三つあります。第一の機能は、「血液回路の制御」です。コンソールには「血液ポンプ」が内蔵されており、患者のシャントから取り出した血液を、設定された流量(通常は1分間に200ml前後)で、安定してダイアライザーへと送り込みます。また、血液が体外で固まってしまわないように、抗凝固薬(ヘパリンなど)を、プログラムされた量で持続的に注入するシリンジポンプも備えています。第二の機能は、「透析液の作成と供給」です。透析液は、水道水などをRO(逆浸透)装置で徹底的に浄化した「超純水」と、電解質やブドウ糖などが含まれた濃厚な原液を、コンソール内部で患者一人ひとりの状態に合わせて、極めて正確な濃度に混合して作られます。さらに、作られた透析液を、人間の体温に近い温度(約37℃)に温めてから、ダイアライザーへと供給します。第三の、そして最も重要な機能が、「安全監視システム」です。透析治療は、血液を体外で循環させるため、常に様々なリスクを伴います。コンソールは、これらのリスクを未然に防ぐため、多数のセンサーで治療中の状態を24時間監視しています。例えば、血液回路内の圧力が異常に高くなったり低くなったりしていないか、回路内に気泡が混入していないか、ダイアライザーの膜が破れて血液が透析液側に漏れていないか(漏血)などを、常にチェックしています。万が一、これらの異常を検知した場合は、即座に警報音(アラーム)を鳴らし、血液ポンプを停止させ、血液が患者側に戻らないように回路を遮断(クランプ)するなど、患者の安全を最優先に考えたフェイルセーフ機構が作動するようになっています。