家族と共有する「我が家の防災計画」
透析災害時アクションカードは、患者さん本人が持っているだけでは、その力を半分しか発揮できません。災害時には、本人が負傷して動けなくなったり、パニックで冷静な判断ができなくなったりする可能性も十分に考えられます。そのような状況で命の綱となるのが、「家族のサポート」です。そのためには、アクションカードに書かれている内容を、日頃から家族全員で共有し、いざという時に誰が何をすべきかという「我が家の防災計画」を、具体的に話し合っておくことが極めて重要です。まず、アクションカードそのものの保管場所を、家族全員が把握しておきましょう。患者さんの財布の中だけでなく、非常持ち出し袋の中や、家の分かりやすい場所にもコピーを置いておくと安心です。次に、カードに記載されている緊急連絡先や、透析施設の名前、災害時拠点病院の場所などを、家族も一緒に確認し、地図上で場所を把握しておきます。そして、最も大切なのが、役割分担のシミュレーションです。もし、患者さん本人が動けない場合、誰が代わりに透析施設へ連絡を試みるのか。誰が非常持ち出し袋を持って、一緒に避難するのか。誰が服用すべき薬の種類と時間を管理するのか。こうした具体的な役割をあらかじめ決めておくだけで、災害時の混乱は大幅に軽減されます。特に、災害時の食事管理は、家族の協力なしには成り立ちません。透析患者向けの非常食がどこに保管されているか、そして、なぜ安易に救援物資のパンやおにぎりを食べてはいけないのか(カリウムや塩分が高いため)、その理由を家族が正しく理解していることが、高カリウム血症などの命に関わる事態を防ぐ上で決定的に重要です。アクションカードは、患者さん個人のお守りではなく、家族全員で命を守るための、共通の教科書なのです。