近年、腎臓の再生を目指す研究が進み、一部のクリニックでは、幹細胞を用いた治療などが「自由診療」として提供されています。これらの治療は、公的医療保険が適用されず、数百万円もの高額な費用がかかるため、「民間の医療保険の先進医療特約が使えるのではないか」と期待する方もいるかもしれません。しかし、ここには大きな誤解があります。先進医療特約が保障するのは、あくまで厚生労働大臣が認可した「先進医療」のリストに掲載されている、特定の高度な医療技術に限られます。そして、現在、腎臓機能の回復を目的とした再生医療で、この先進医療に指定されているものは、残念ながら存在しません。街のクリニックが「最先端の再生医療」などと宣伝していても、それは国が定めた先進医療ではなく、単なる「自由診療」です。したがって、これらの治療を受けても、先進医療特約から給付金が支払われることは一切ありません。この点を混同していると、「特約があるから大丈夫」と高額な治療に踏み切ったものの、後で保険金が全く下りず、経済的に困窮するという最悪の事態を招きかねません。では、将来的に腎臓の再生医療が先進医療に指定される可能性はあるのでしょうか。iPS細胞を用いた腎臓再生の研究などが、今後、臨床研究に進み、その安全性と有効性が示されれば、将来的には先進医療として認められる日が来るかもしれません。もしそうなれば、先進医療特約は、その高額な技術料をカバーする上で、非常に大きな力を発揮するでしょう。しかし、それはまだ未来の話であり、現時点では、自由診療の再生医療に対して、先進医療特約は「使えない」という事実を、冷静に認識しておくことが重要です。