私たちの体の中には、腰のあたりにそら豆のような形をした「腎臓」という臓器が二つあります。腎臓は、私たちが生きていく上で欠かすことのできない、非常に重要な仕事をいくつも担っています。その最も代表的な仕事が、血液をろ過してきれいにすること、いわば体内の「血液浄化プラント」です。心臓から送り出された血液は腎臓を通り、そこでフィルターにかけられます。体に必要なものは再吸収され、不要になった老廃物や余分な水分、塩分などは尿として体外に排出されます。このおかげで、私たちの体の中は常にきれいな状態に保たれているのです。しかし、糖尿病や高血圧、腎炎といった様々な原因で、この腎臓の働きが著しく低下してしまうことがあります。腎臓の機能が正常の10%以下にまで落ち込み、自力では血液を十分にきれいにできなくなった状態を「末期腎不全」と呼びます。この状態になると、体内に老廃物や毒素が溜まり(尿毒症)、むくみや高血圧、貧血、吐き気など、様々なつらい症状が現れ、最終的には生命を維持することが困難になります。この、働かなくなった腎臓の代わりに、人工的な方法で血液を浄化し、体内の環境を正常に保つ治療法が「透析療法」です。透析は、病気そのものを治す治療ではありません。しかし、腎臓の仕事を肩代わりすることで、末期腎不全の患者さんが元気に日常生活を送り、社会生活を続けることを可能にする、まさに命を繋ぐための不可欠な治療なのです。