2025年12月
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透析治療と障害者手帳、知っておきたい基本の関係
人工透析は、失われた腎臓の機能を代替し、生命を維持するための不可欠な治療法です。しかし、週に3回、数時間にわたる通院や、厳しい食事制限など、その後の生活に大きな制約が伴うのも事実です。こうした、永続的に腎臓機能が低下した状態は、国の定める障害の状態に該当します。そのため、人工透析を導入した患者さんのほとんどは、「身体障害者手帳」を取得することができます。身体障害者手帳は、身体に永続する障害がある方に対して、様々な支援やサービスを提供し、その自立と社会参加を促すことを目的として交付されるものです。透析患者さんの場合、障害の種類としては「腎臓機能障害」に分類されます。手帳を持つことで、単に「障害者」というレッテルが貼られるのではなく、むしろ、治療を続けながら、より質の高い社会生活を送るための、強力なサポートを得るための「権利」であると理解することが重要です。手帳の取得は、透析導入による身体的、精神的、そして経済的な負担を軽減し、患者さんが自分らしい生活を再構築していくための、非常に重要な第一歩となります。この手帳があることで、高額な医療費の助成を受けられたり、税金の控除が適用されたり、あるいは公共交通機関の割引など、生活の様々な場面で具体的な支援を受ける道が開かれます。透析治療という新たなライフステージを迎えるにあたり、この身体障害者手帳の制度を正しく理解し、適切に活用することは、今後の人生を前向きに歩んでいく上で、欠かすことのできない知識と言えるでしょう。